半世紀前に轢かれたレールを歩いていく
時差のある場所からは交わらない道
人の都合に合うようにと計算された時刻表
時計の針が小走りしている
涙が乾かない湿気の強い秋の始まりの日
あなたは留守番電話になった
迷いを感じることのない強弱がない声
朝と夜をつなぐ透明な糸
吐息で簡単に途切れてしまった
身体だけが日を跨いだ朝
霧がかかった記憶を辿る
ちぐはぐに繋ぎ止めた言葉を並べて
机の上においてみた
言葉がパズルのように見えて
私のものではないものになる
明らかに足りないパズルのピース
どこかで置いてきぼりにした記憶のかけら
もう答え合わせはできない
元からなかったのかもしれないけれど
失ったことには変わりがなかった
触れられれば抱きしめられれば
何か変えられたかと思えば
日の出が夕焼けに思えた
心が金縛りに捕まっている間に
夜が明けたらしい
未来は白紙の紙のように綺麗で薄っぺらい
Comments